2019年3月






3月3日

迫田監督の話つづき。


今回の高校生のオールジャパンが、韓国と台湾に負けて3位になった。
これどういうことかゆうたら、監督さんが報徳学園の永田さん。
永田さんは今54歳なんですよ。木のバットは62歳、達川の時代までなんですよ。
54歳だったら自分が現役の時も木でやったことないんですよ。
自分が金属のバットでやってたから、大阪桐蔭のバッティングを見たら、
こいつら凄いとなるんですよ。ところが国際大会は木のバットなんですよ。
韓国とか台湾とかアメリカは、高校生も木のバットを使ってるんですよ。
だから金属でやったら日本は勝っとると思うんです。
でも木の世界でやったらそうはいかないですよね。それで負けたんですね。
木のバットというのは当たってからの反発が違うんです。

それで今日本も考えにゃいけんじゃないかと。でも日本は木のバットにはできないです。
それはやっぱり経済的な理由で、4000チームがあるんです。
それを全部木のバットにしたら莫大な金額ですよ。
韓国は74チームです。江川と行った時が60何チームです。そんなに増えてない。
そのうちの10〜15チームは大阪桐蔭みたいに、朝9時から18時まで授業なしで練習。
それで保護者がお金を出し合って監督を連れてくる。給料を保護者が出すんです。
だからお金がないところができんようになったんです。
それでもって全国大会が今は10回もないかな、どれにエントリーしてもええんです。
私が江川と行った時に、相手の監督が全国優勝36回。
ええー、36回ゆうたらどういうことですか。年に10回あるんです。

だから木のバットでもそんなには金額はいかないです。
4000チームもあったら、公立高校がお金の関係でできなくなりますね。
野球部をやめるところが出てきますね。そうなったら日本の高校野球は数が減りますね。
韓国の高校はだいたいプロを目指してやってますから。
木のバットでガンガンやってます。木のバットだとやっぱり日本は負けます。

──2005年に監督さんがAAAで優勝した時は?

あの時は金属でした。相手にも金属バットを25本ずつ渡して。







3月10日

迫田監督の話つづき。


(捕手が入室)
「藤原(右サイド投手)のときの左バッターへの配球が分からないです」

あー、あれね、1番いけんのは、例えば赤石は投げて、生きとるボールと死んどるボール、
力のちょっと入り具合で、牽制するんでもな、赤石は体を開かにゃ投げれん。
あれは下手したらシュートを投げて暴投になる。藤原は肘より先に手が出る。
だから自分ではバッとすごく投げとるつもりでも、ボールに回転がかからん。手がうしろになってきたらかかる。
横のスライダーじゃったら手がそんなに前に出んからボールのキレがええ。
上のスライダーでもこれが分からんのんよ、手がうしろになっとるか前になっとるか。

サードやファーストには投げれるのに、結局前に来るから力んで投げるけぇ届かんのんよ。
もっとあれして大きくしろ(フォームを?)ゆうのは、大きくしても限度があるんじゃけど、
そのあれがどこでもパッとくるよ なったら文句ない。手がどうしても前になる、それでボールが死による。
そこらのところが藤原が、どうしても投げろと言われたら力んで投げたらええと思っとる。違う違う。
いかに力を抜いとるということがええボールになってくるんよ。もしなんだったら、見るけいゆうとってくれ。

──配球とかよりもフォームということですか?

そうですね。ボール自体はまあまあのあれです。めちゃくちゃコントロールが悪いわけじゃないです。
ただし投げるのを力で投げよるけぇ。だから力を入れると言ったら、今の子の欠点なんですが、
上腕を鍛えとる子が多い。上腕に力が入ったら手首があれなんです、
結局ね、あの子がそうです、ジャイアンツの岡本が3割30本100打点だけど、
二岡コーチがティーで投げて打ちよるのにグリップが下がるんですよ。

グリップが下がるから、私から言わせたら、クライマックスシリーズで15打数1安打ぐらいです。
高めを攻められとるんですね。どうしてもグリップが下がるんです。
いわゆる智辯和歌山でガンガンガンガン振り回しとるんですよ。
振り回すというのはどういうことかゆうたら、上腕に力が入るということなんです。

うちおった3年生の田中は自分がチャンスのとき絶対打てんいうのが、上腕で握るんです。
これで握るゆうのはどういうことかゆうたら手首が下がるんです。
上腕に力が入りすぎたらボールも投げれんし打てんのんです。
だから緊張したら、打たにゃいけんゆうたら、上腕に力が入るんです。
それでグリップが下がるんです。それで打ってもボールに負けるんです。

ボールを投げるのも上腕に力が入るんです。どういうことかゆうたら、
テークバックの時に手のひらが頭のほうに向くんです。そしたら上腕に力が入っとるんです。
こういう投げ方をしよったらいけんのんです。手のひらがセンターを向いたら、
力が入らんから腕を振れるんです。バットを持つのもそういうことで、パッとあれした時に、
ほとんどの人が力がないのにホームランを狙って振るから上腕に力が入る。
ボールを投げれん。ボールを打てん。1番肝心な時に力が入るんです。それで下がるんです。
うちで2番で尾崎というのが、ようやくあれになってきたけど、
まだおかしいのが打つ時にぱっと上腕に力が入ってダメになるんです。

岡本はプロでも分からんのかなと。わしが偉そうに言っちゃいけんけど。
30本打っとるけど、なんでクライマックスで全然打てなかったのか。やっぱり高めを狙われとるんです。
岡本は高めを打ってホームランはないんです。ちょっと低めをホームランにしとる。
ピッチャーなんていうのは、ファーストからサードへ投げてボールが
「これはピッチャーのボールだなぁ」ゆうては分からにゃダメなんです。







3月17日

2月7日に如水館取材。

──チームはどんなでしょうか?

今週いっぱいまでなんですよ寮が、閉鎖なんですよ、あのインフルエンザで。
21人ぐらいなって、閉鎖になって、このあれでもう1人ぐらいになっとるから、
土曜日から閉鎖しよういうことになったんですね。

なかなか今あれで、かえってなんですね、個人の練習をしなさいということで、
大分ようはなっとるんですがね。ただ今の人はどうしてもあれがないんですよね、
殺気と言ったらおかしいけど、顔を作るというんですかね。
例えば「ここはヤバイで。車が来るで」とかですね。
街を歩きよってここはちょっと気を付けにゃいけんとか、そういうことが今ないですね。

だからスーパーなんかで、人とぶつかることが多いよね。
おばさんらが2列に並んどるとか、子供をぱっと走らせよるとか、なんかね、
そこらのところがね、特に若かったらパパッと動けるんよ。動けんのよもう。
子供が走ってきたらね、ええー、もうヤバイという感じになってそういうふうなところが、
選手たちにないというのがね、すごいどう言うたらええかね、野球やっとって、
ただ打って走って投げればええというような感じですよね。それは違うんですがね。

例えば私らだったら、ランナー一塁で出て、そいつは足が速い、
ぱっと見て「あ、こいつ走る気配がある」。そこらは分からないといけないですね。
それでもってウエストしてみるとか、牽制してみるとか。
それが気配を殺してぱっと走るようなったら一流ですからね。
そういうところをちょっと今特にゆうとるんですが、
できるかどうかゆうたら分からんよね、今の子。
スマホで育っとるけぇね。覚えることが苦手なんですよ。
どうしても言われたことをね、何回もゆうてもらえるんじゃという感じですね。

今はだから、教える人があんまり詳しく教えんで、簡単なことをせぇと。
例えばある学校なんかは一死二塁でサードゴロじゃろうとショートゴロじゃろうとゴロなら走れと。
アウトになってもいいから走れと。そうしたほうが思いきりが良くなって良い結果が出るとか。
じゃけど本来から言ったら、やっぱり強いところとやるときそんなことをしたら、
セカンドゴロで走るならいいけど、サード・ショートで走ってアウトになって、それを潰すゆうたら、
それじゃったら9回裏に0対0だったらどうするんですかゆうたらしょうがないよね。

そういうようなことがやらしとるんだからええということになっとるんですよ。
どうゆうたらええですかね、すごい、楽しいじゃなしに、
結果がよければそれでええんじゃゆうようなやり方というのはね、
決してよくないと思うけど、しょうがないですね、そういうようなのがあるのは。







3月24日

迫田監督の話つづき。


本当あれですよ、監督さんがここでバントさせるよりも打たしたほうがいいけぇ、
例えば無死三塁、一死三塁でスクイズですか打たすんですか、
ゆうたらスクイズなら向こうがウエストするかもわからんとか、
いろんなことを考えるのがめんどくさい。だから打たす。
点が入る確率も5割ぐらいがあるんです、今の金属バットなら。
そこらのところが、うちは打てなかったら負けなんじゃと、あの人が鍛治舎さんか。
あの人は言いよったです「今日は打てなかったから負けました」。
何も作戦ないんですよ。それはやっぱり違うと思うんですがね。

やっぱり高校生は、高校生らしいというのは、
技術的にそんなにうまくないからそういうことを考えて、
力がなくても例えば肩が弱ければカットを上手くやってこうしましょうとか。
それがプロだったら一人でできにゃダメですとか。そこらが違うわけです。
それからがあるからええんじゃけど、今は素材がいいのを集めて
それを好きにさせてそれで世界で勝てるんならいいけど負けよるんですよね。

今金属バットが一つのネックになっとると思うんですが、
日本の高校野球というのは、一つのものを持って勝てるというようなものが
ないといけんと思うんです。これが一番大事なんじゃないかなと。それがないですね。
極端な話、大学みたいに高校で全国から集めて、それを好きにさせて、
素材があるけぇ3打席に1本パカーンと打てたらそれでええゆうたら、
相手もやっぱり嫌なんですよね。そういうふうな野球、
これはだから我々から見たら嘘なんですけどね。

それじゃあ言ってもそれがずっと全国優勝して周りがすごい言いよるんですから、
しょうがないところがありますよね。じゃけどうちらで集められんじゃないですか。
それが特待があるわけではなし。迫田のところでやってみたいという子が
来るぐらいのことですから。そしたらそういうふうなものをやろうやと言っても、
今の子供は恵まれすぎてるから、苦しい言うたらおかしいけど、
自分らで考えてやるんじゃということは、ちょっと少ないところがあるんですね。
今はそういう風な育て方をされとるから、それをあれしようと思うても
難しいところがあるんですね、本人らもね。







3月31日

迫田監督の話つづき。


今の人いうのはこうやって立たしとって、殴ったろうゆう気持ちを出してみぃ、
そしたら立ってる人はぱっと殺気を感じるわね。殺気を感じるようじゃないとダメなんですよ。
殴ったろういうのに普通に歩いて行ったゆうたら、それはだから打つ時にでも、
打つ気を出すとかこういうふうなあれが、恵まれた中で育っとるけぇ、
なんか隙を見てわしにこうしたろうとかいうのはないですからね。
我々の頃は食べるんでも、パットあれして、何人かで食べるゆうたら、
れとあれは先に取らにゃいけんとか考えよったですね。

私は今はそうゆうするのをどういうふうにしたら、興味を抱かないんですよね、
興味を抱くようなことをせにゃいけん。 いっつも言ってもらえると思っとるんですよね。
何回も何回も同じことを、私の先輩は亡くなった山本一義さん。長かったんです説教が。
30分を4回ですから。「分かったか?」「分かりました」 
やっと終わったと思ったら、「よしじゃあ復習するぞ。もう1回聴けよ」と。
2回目がようやく終わって「分かったか。2回も言ったら分かっただろう」「分かりました」
「よしそれじゃあお前らが分かっとるかどうか調べるからな」 
4回やってんよ。もうね、どうでもええんよ。

あんたは分からんでもわしらは分かっとるんじゃゆうてもね、
たまにおるんよね1人か2人「いい話だった」と。お前いい加減にせぇよ、何回聞いとるんや。
そういう人は自分の話に酔われるんですね。ええことを言うとるなーゆう感じを自分でね。
じゃけえはっきりゆうたら頭がええほうじゃないんよ。話をして相手を見て分からにゃいけんのよね。
こいつは分かっとるこいつは分かってない。そしたら分かっとる奴は上がらして、
分かってないやつに言えばいいんです。同じようにね、分かってない感じで話をされたらね、
もうほんまどうでもいいですよ。長いわ。今日も2時間かゆうようなね。
それで30分自分は良い話をしたなと。よしもうちょっと丁寧に言おうとかね。

それをね、今の奴、それがね、黙ってね、聞く姿勢はええんよね。
だから一番前の奴にええ格好しとるけぇ、よしお前言ってみぃゆうたら
「え、僕こんなに真面目な顔して聞いとったのに、僕に質問するんですか?」ゆうようなね。
僕はこんな真面目にあれしとったのになんで僕に訊くんですか。聴いてないんですよ。
大体学校教育がそこらのところが、昔は分からなんだら立っとけとか、
分かるまでこうせいとかやりよったけど、ほいじゃあ次聞けとか、それでオッケーで済むんですよ。
そしたらいつまで経っても覚えんですね。





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